指導コンセンプト

水泳は、ラジオ体操に次ぐ日本で最も行われている運動のひとつです。 水泳は体に良いといわれていますが、実際にはどんな点なのでしょうか? 水を媒体として行う水泳の効果は実にさまざまです。

浮力

肩まで水中に沈んだ姿勢で立つ(頭が出た状態)と、水中での体重は陸上での10分の1程度に減少します。この状態でも重力によって日常的に関節にかかっていた負担が極端に少なくなります。さらに水平に浮いている(頭を入れた状態)と体重が20分の1となり、無重力に近い状態に。水中で運動することで自重から解放され、効果的に運動することができます。

水圧

胸が水中に入っている場合、胸郭(肺)に水圧がかかります。水圧は体の中心に向かって押す力なので、肺が圧迫され、空気を吸い込む動作の抵抗となります。この状態で呼吸をすることを「努力呼吸」といいます。「努力呼吸」は呼吸筋のトレーニングになり、心肺持久力の向上につながります。
小学校の持久走大会でアテナの子達は大活躍をするそうですが、それはアテナの「泳ぎ込み」によって培った心肺機能の発達が大きく関与しているわけです。

水温

水中では、熱の伝わる早さが空気中の約27倍です。水温30度(アテナのプール水温)のプールに入ると、水温が体に伝わり、体温が下がります。すると体は生理機能を働かせて体温を維持させようとエネルギーを燃焼させます。ですから、水につかるだけでも熱伝導特性により素早く基礎代謝を上げることができるのです。
水泳は生理機能を活用する数少ないスポーツです。

抵抗

水の密度は空気の約800倍あります。水は粘性が高くそして重いものです。手足をゆっくりと動かすとさほど負荷がかかりませんが、動かす速度によって負荷量が加速度的に増加します。したがって、自分が出した力に相当する負荷が得られるのです。水の抵抗が動きの効率を悪くするため、より短時間で運動効果を上げることができます。また、ウエイトトレーニングのように過負荷で関節を痛めることが少ないというメリットもあります。

ぜんそく

水泳は気管支ぜんそくの方にとって運動誘発性気管支ぜんそく発作がおきにくいスポーツです。
理由はいくつか挙げられますが、水面すれすれで呼吸をするときには吸気(吸う息)の湿度が十分にあって気管支内が乾燥しないことが大きな理由と考えられています。
また、「努力呼吸」を行うため胸部の発達が促進され呼吸循環器系の機能が向上することや、規則正しい呼吸法の習得、重力の影響を受けない、などさまざまな条件が揃っていることもその要因です。さらには今までぜんそくを理由に積極的にスポーツへ参加していなかった子供のストレス解消の場となり、心身共に解放されるという事例もあります。
ぜんそく児は発作によって呼吸筋が鍛えられていることが多く、心肺機能がぜんそくを煩っていない子供より発達していると水泳に順応したときに選手として大成するケースがあります。実際オリンピック選手がぜんそく治療のために水泳を始めたという例は珍しくありません。アテナでもバタフライで高校記録を塗り替えた選手がいましたが、その選手もぜんそくを克服するために水泳を始めた子供でした。

右脳

水泳は右脳を刺激する運動といわれています。一般的に計算する能力や言語の聞き取り、読み書きなど、受験勉強等で使うのは左脳、それに対し、イメージを抱く、音楽感覚などクリエイティブな思考は右脳が行います。水泳は全身運動ですからバランスよく右脳と直結している左半身を動かします。また、空間構成は右脳の働きのひとつなのですが、無重力に近い水中を進むことはこの空間構成を働かさなければなりません。
水泳は普段はあまり使わない右脳を刺激する運動です。勉強の合間に体を動かすには最高の運動でもあるわけです。

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アクアメイツの水泳指導

水慣れ

水慣れという言葉を聞くと、水に顔をつける、水の中で目を開ける、もぐる、といったことを想像することでしょう。確かに水慣れの大事な要素であることには変わりないのですが、これから水泳を始める子供にとってそれらは本当に楽しいことなのでしょうか?

実はまだ水が怖い子供には、恐怖以外の何ものでもないのです。子供が医者に行くと「注射をするところ=恐いところ」というイメージを持つように、プールに行くと「もぐらされるところ=恐いところ」というイメージを抱かせてしまうのと同じことです。
アテナの水慣れはバタ足から始まります(その前にプールの中を歩いたり、走ったりもしますがノ)。水に顔をつける、水の中で目を開ける、もぐる、だからバタ足もできるようになる、と考えているクラブもありますが、アテナはその逆だと思ってください。
「バタ足が上手になりました」
「自分でお水の中を進めるようになりました」
「今度は顔をつけてみよう!」
という順序です。子供にはプールはもぐるところではなく、泳ぐところだと思ってもらいたいのです。

スキルの形成(技術の取得)という観点からも難易度の低いことから始めて徐々に難易度を高めていくことが重要です。したがって、水に顔をつけるという高度なことよりも、水に顔をつけないで行えるバタ足から水慣れを始めたほうが適しています。子供は遊んでいるうちに水に顔をつけられるようになり、いつしか水への恐怖心もなくなり水に慣れ親しんでいくでしょう。
子供の視点で考え、指導を実践していくクラブがアテナアクアメイツです。

ワッペン

コーチ、うちの子、フエルトのワッペンもらってきたんですけど合格したんですか?」
赤帽子で練習しているお子さんの保護者の方からの質問です。

フエルトのワッペンは合格ワッペンではありません。合格の際には「アテナワッペン」(青とピンクの刺繍をしてあるワッペン)が渡されます。
フエルトのワッペンには三角のワッペン「ステップアップワッペン」と四角いワッペン「がんばりワッペン」の2つのタイプがあり、このフエルトワッペンのシステムは赤帽子だけのものです。  赤帽子は「水泳の入り口」の級にあたります。ここでは、水泳の基礎を身につけることが一番の目標です。それには様々な要素があります。水を怖がらないようにすること、水の中でバランスが取れること、バタ足をして進むことなど書き出したらきりが無いほどたくさん覚えることがあります。  進級に至るまでにはその級の中でもステップがあることをご理解ください。その級の合格へ至るステップがひとつ上がると「ステップアップワッペン」をお渡しします。「ステップアップワッペン」が2個になるとその次のステップが合格となります。
「がんばりワッペン」はそのステップアップのレベルではないけれど、プールで子供の成長が見られたときにお渡します。例えば、今まで泣きながらプールに来ていた子供が泣かないで来てくれたときや、プールにひとりで飛び込めた、水の中でブクブクができた(息を吐けた)など、進級とは直接的なつながりをもたないことでも、それは子供の挑戦の証であり、成長のしるしでもあるはずです。そうした小さなハードルを越えたときにお渡しするのが「がんばりワッペン」です。それは水泳の技術的なものであったり、挨拶などの社会的なものであったり様々です。

わくわくしながらプールに来てほしい!
なんにでも興味を持って挑戦してもらいたい!
小さな上達を保護者の方と同じように我々スタッフも一喜一憂したい!

と考えたのがこれらのフエルトワッペンシステムです。

ですから、赤帽子についている形も色も様々なワッペンは、子供の上達と、成長の足跡なのです。
子供の上達を喜び、認め、賞賛したいノ。素敵な笑顔を見せる子供の応援団長がアテナアクアメイツなのです。

進級基準

「コーチ、うちの子、あんなクロールで合格なんですか? 溺れているのか泳いでいるのか分からないんです けど・・・」
テストが終わると保護者の方からこんな質問を受けたことがあります。

例えばテストの基準が17mのクロールだとします。子供は頑張って17mを泳ぎきりました。しかし、結果は呼吸が上手にできていないから不合格。他のクラブではよくあることだと思います。
これは本当に正しいのでしょうか?
呼吸が上手という基準はどこまでが上手でどこからが上手でないというのでしょう? もしかするとその基準はそれぞれ個人の主観によって決定されるものなのではないでしょうか? 要するに子供の努力の結果がそのテストを担当したコーチの采配ひとつで判断されてしまうわけです。  アテナでは決められた距離を途中で立ったり、ロープにつかまったりしなければ合格です。上手、そうでないという見方でテストは行いません。前述したとおり、その泳ぎが上手という基準は実に曖昧で、人によってさまざまだからです。アテナではどのコーチがテストをしても同じ結果になります。それはテストにコーチの主観が入らないシステムを確立しているからに他なりません。特に、初歩のクロールや背泳ぎの段階では泳形よりもむしろ、目標距離を泳げたという達成感に進級(賞賛)の意義があると考えています。
それというのも、アテナでは17級からクロールを習い始め、1級が終了するまで反復練習していきます。つまり、クロールに関していえば16のステップがあるわけです。そのステップを歩んでいくと溺れているようなクロールが次第に形作られ、角がとれていき、きれいなフォームが身についてきます。そのころには段階的に練習を積み重ねているので、泳力も十分に備わっていて泳ぎに力強さも加わることでしょう。もちろん、形にこだわっていないわけではありません。その級のステップに応じたフォームで泳げる指導を行っています。
例えば、子供が字を書き始めたとき、書き順もバランスもばらばらでなんという字を書いたのか分からないことがよくあります。それが次第に形が整っていく。小学生くらいになるとかなり上手になってきますよね。泳ぎもそれと同じだと思ってください。クロールを例に挙げましたが、バタ足や他の泳法も同様です(一部の泳法違反を除く)。
未完成というのは、可能性に満ちていると解釈することもできます。子供は可能性の塊です。最初から完成型を求めるより、未完成の魅力から始める水泳があっても良いのではないでしょうか?
子供の成長に合わせて泳ぎも成長していく、そういった指導を心がけているのがアテナアクアメイツです。

泳力作りと有酸素運動1

「アテナはよく泳がせるというのは本当ですか?」
入会の問い合わせでこのような質問を受けることがあります。
まず、アテナは他のクラブに比べてたくさん泳がせるというのは本当です。それには2つの理由があります。

ひとつ目は、アテナのプールが他のクラブより深い(水深3m)というところにあります。安全かつ自己保全(自分で安全を確保する能力)を最優先に考えた場合、実際に泳げるという力と本人の泳げるという自信がとても重要であるからです。例えば、何らかのアクシデントでプールに落ちてしまったとします。プールは深いので立つことができません。リトルパニックになります。この際、泳げる自信が気持ちを落ち着け、泳力という力が安全な場所まで移動させてくれます。プールだけではなく海など水深が安定していない場所で、急に足が立たない状況になっても、同じことがいえます。
ふたつ目は水泳の運動特性を有効的に活用するためです。ご存知のとおり、水泳は有酸素運動の代表選手であり、全身運動の万能選手でもあります。ただし、水泳を行っていればこれらの成果が得られるわけではありません。有酸素運動はその運動が20分以上行われなければ有酸素代謝の効果は期待できないのです。45分行うとより効果的といわれています。水泳を習っている以上、健康で元気でいてもらいたいと望んでいる保護者の方は入会のアンケートを見ても大勢いらっしゃいます。クラブによっては、説明ばかりが長く子供が泳いでいる時間より話を聞いたり待っている時間が長いということがあるようですが、アテナでは水泳の技術を身につけると同様に健全な体力づくりを特に重要視しています。
また、今の子供は、TV文化の影響から15分位(CMが入るタイミング)で集中力がとぎれてしまうそうです。20分以上の泳ぎ込みは単調なことの繰り返しです。泳ぎ込みを行うことによって、集中力や苦しくなっても頑張るという自制心を育むにもたいへん効果があります。
アテナの練習は、「技術を磨く」「体力を高める」「精神力を鍛える」といった3つの柱から成り立っています。それにはそれぞれ理論に裏付けられています。
水泳の効果を効率よくそして最大限に伝えたい!  それがアテナアクアメイツのこだわりです。

ワークアウトと運動理論

「コーチ、うちの子、バタフライを習う級になったんですけど、アテナでは練習時間の前半に新しく習うバタフライの泳ぎ方を練習するんですね。前に通っていたクラブでは練習時間の前半に今まで習った泳ぎの復習 をしてたんですが・・・」というお話を伺いました。 バタフライ以上の級では、フォームや泳法の練習を練習時間の前半に行います。それには理由があります。
運動をすると疲労します。そして体には疲労する順番があるのです。一番最初に疲れるのは神経系です。次に白筋系(瞬発力系)、最後に赤筋系(持久力系)です。これは運動生理学の面から証明されています。つまり、この順番で練習を組み立てることが、トレーニングの成果を挙げることにたいへん効果的なわけです。
これを水泳の練習に置き換えると、フォーム指導(泳法取得)⇒ スピード練習(瞬発力練習) ⇒ 泳ぎ込み(持久力練習)というようになります。つまり、アテナが復習から始めず、新しい泳ぎを覚えることを最初に行うのは学術的にも裏付けされているように、より効率的に泳ぎを身につけてもらいたいという方針で指導しているからなのです。

浮力作りと有酸素運動2

「コーチ、水色帽子以上になると泳がせるばかりで泳ぎ方を教えてくれないのですか?」
このようなお叱りを受けたことがあります。

運動生理学上、有酸素運動の効果は20分以上継続しないと得られません。緑帽子のときすでに20分間の泳ぎ込みを行っていますから、トレーニングの基本である、漸進性・過負荷の原則、つまり徐々に負荷を増やして練習していくという理論から、水色帽子では最低20分以上、月の後半には最大で45分行うことが理想的なのです。また、個人メドレーは4泳法続けて泳ぐものですから、それ相応の泳力も備えないといけません。もちろん、それ以外の練習時間には泳ぎに気をつけフォームを整える練習やスピードを上げる練習などを行っています。ただ、割合からいうと泳ぎ込みの時間が多いため泳がせてばかりで教えてくれていないと誤解を招いてしまっていることも多いようです。水色帽子の次の級の紺帽子(5級〜2級)ではもう一度4泳法のフォームをチェックしスピードを上げるステップがあります。そこでは、不得意種目の克服をしたり、得意種目に磨きをかけることを目的としています。
もっとも、水色帽子の級でも泳形にもっと時間を割いてほしいとのご要望がある以上、今後、フォームをチェックする練習日を設ける必要があるかもしれません。
今アテナで行っているシステムや指導は常にベターな方法を確立し実践していますが、決してベストであるとは思っていません。むしろ指導方法については形を変えていくべきものです。それは会員の方(保護者を含む)のご要望に答える場合もあるでしょう。
また、トレーニングの理論や運動生理学の研究が進み、新しい理論や手法が生まれてくるときかもしれません。もっといえば、クロール・背泳ぎ・平泳ぎ・バタフライに次ぐ5番目の泳法が生まれるときかもしれません。そのときに、5番目の泳法をどこよりも早くカリキュラムに取り組めるクラブを目指しています。
今行っていることを肯定するばかりのクラブになるつもりはありません。時には否定してでも、新しい時代にあった、いつでも会員の方のニーズに答えられるようこれからも努力していきます。

今までも、これからもアテナアクアメイツ

「コーチ、うちの子、1級を合格したんですけど、もう辞めないといけないんですか? もし続けるならどんな練習をするんですか?」
アテナの初心者課程をすべて終えたお子さんの保護者の方からの質問です。

アテナでは1級を終了すると好きな色の帽子がプレゼントされ、0級(修了級)となります。この後の練習では1級と同様に個人メドレーの練習を行い、0級のレベルアップ基準に挑戦します。1級までは学年別の進級基準でしたが0級は学年には関係のない無差別の基準となります。
100m個人メドレーで1分30秒の記録を突破するとシリコンキャップがプレゼントされエキスパート級になります。この後は、今までの自分の記録に挑戦していくようになります。このエキスパート級は1年にひとりかふたりほどしか基準に達する子供がいません。この基準を突破するには泳形、泳力ともにまさにエキスパート級でないと到達できないのです。この級まで練習をしている子供はタイムだけでなく水泳を本当に好きであったり、他のスポーツの体力づくりのために水泳を行っていたり、中には中学生になって文化部に所属しているにもかかわらず体は動かしたい、アテナカップで泳力検定1級を合格したいと練習をしている子供もいます。
それ以外にも、4泳法修了以降は選手育成コース・シンクロコースへの編入も可能です。このコースは競技として水泳を行うクラスですので練習時間や回数も増えますが、オリンピックを目指して練習します。水泳に夢をのせて練習をするクラスです。
アテナでは初心者クラス同様、選手育成・シンクロクラスにも力を入れています。

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